yoccattaの"居心地の悪い“ブルー
エアバッグの廃棄・そのアップサイクルの工程を表す「yoccattaリサイクルイラスト」
2014年、エアバッグ開発エンジニアと出会い、“感謝とアップサイクルのコンセプト”を
落書きしながら創り上げました。
その“落書き”をそのまま商品の裏側にプリントしています。

先日、建築家のお客様から、このプリントのカラーについて、質問がありました。
「コンセプト、そして、バッグのデザインも気に入っているのだが、この内側のプリントの色が気になっている。どうして、"こんな色"にしたの?」
今回は、この色について、ご説明します。
35年ほど前は、私は駆け出しの若いデザイナーでした。パリコレ常連のデザイナーの会社で、国内向けの小さなブランドを担当していました。
ランウェイを行なうようなブランドではないのに、Tシャツのカラーですら妥協しない…そんな師匠から、企画内容のチェックが入りました。たかだか、白や黒であっても、"色のニュアンス"を求め、様々なカラー見本を用意して、セレクトして見せていました。
カラープレゼンにしくじった時に「洗面器みたいな色」と揶揄され、叱咤激励を受けていました。
「洗面器みたいな色」とは、ニュアンスを感じない色、人が心地良く思う色でない…という意味での言い回しです。例えTシャツの様なアイテムであっても、ちゃんと準備をして、考えて色出ししなさい…という事でした。
エアバッグの生地は、生きるか死ぬか…人の安全の事を一番に考えて、二番がない素材です。
当然、人に見せる為の気の利いたカラーが付いているわけではありません。
その色気のない生地とシートベルトを使って、バッグとして仕立てます。
そして、そのエアバッグ生地は、ナイロン製です。
違う言い方をすると、海洋投棄で昨今問題になっている「プラスチック繊維」になります。
yoccatta創業の際
プロトタイプのトートが上がってきた時に、このイラストをプリントすることになりました。
その時にあの「洗面器みたいな色」を思い出しました。
"廃棄プラスチック繊維"を扱う yoccatta
現代社会で、生活に欠かす事ができないとても便利なプラスチックですが、この素材の扱い方が、この先、大変な問題になる!
いずれ、きちんと回収して、平行リサイクル(プラスチックからプラスチックに)しなければ、ならなくなる…。
プラスチックという素材をもつと意識して欲しい!注目して欲しい!
そこで、あえて、昔の洗面器みたいな、ニュアンスのない「ブルー」にする事にしました。
※そう言いながらも、カラー見本は、幾つも用意して…。
問合せしてくれたお客様は、この色は心地よく無い…と感じ取ってくれた…。
居心地の悪いこのブルーに気が付いてくれた事が、嬉しくもあり、その感性がありがたかった…。
yoccattaの製品は、プロダクトとして、完成度を追求しています。
身に付けたい…と思えるファッションとしての”色気“も持ち合わせています。
そんな商品の内側に、あえてこの"違和感を感じるブルー"でコンセントをプリントしています。
yoccattaは、一癖ある!ファッションプロダクトです。